ホームページにおける「お化粧」と「骨組み」の優先順位

ホームページを作るとき、見た目にこだわりたくなるのは自然なことです。
色、フォント、余白、写真の雰囲気。きれいに仕上げたい、ちゃんとした印象にしたいという気持ちは、表現者として、あるいは事業者として健全な意欲だと言えます。
ただ、制作の現場では、見た目を整えようとすればするほど、公開が遠のいていくという現象がよく起こります。
こだわりという迷路に入り込み、出口が見えなくなる状態です。
なぜなら、見た目の完成度には終わりがないからです。
「もう少し良くできそう」という感覚は無限に続き、いつまでも完成に辿り着きません。
その結果、本来の目的であるはずの「誰かとつながる入り口」が開かないまま、時間だけが過ぎてしまいます。
見た目が担う役割を整理する
ここで一度、見た目のデザインが担っている役割を分けて考えてみます。
デザインの役割は、大きく分けて2つあります。
ひとつは第一印象です。
ぱっと見て安心できるか、信頼に値しそうか。
これは確かに大切な要素です。
もうひとつは、ストレスを増やさないことです。
読みにくい、探しにくい、よく分からないといった、小さな不快感を減らす役割です。
つまり見た目の装飾は、加点を狙いに行くためのものというより、減点を防ぐための土台に近いものです。
「見た目が良いほど選ばれる」というよりは、「見た目に違和感があると、中身に触れる前に離脱される」というのが、現実的な捉え方かもしれません。
成果を左右する骨組み
サイトの成果を決めるのは、見た目の先にある構造です。
入り口がどこにあるか、迷わずに進めるか、必要な情報が揃っているか、そして申し込みまでつながっているか。
この骨組みが整っていると、派手に飾らなくても信頼が積み上がります。
逆に、見た目にこだわりすぎると、この構造が後回しになりがちです。
ページは美しいけれど、どこから連絡すればいいか分からない。
導線が複雑で、次に何をすればいいか迷ってしまう。
こうなると、どれだけ熱心に発信して人を集めても、受け皿から漏れていってしまいます。
これを身体にたとえると分かりやすくなります。
見た目のデザインは、外見や服装、髪型のようなものです。
第一印象としては重要ですが、構造や機能は骨組みや筋肉にあたります。
普段、骨や筋肉は外からは見えません。
けれど、ここが弱いと長く活動を続けることは難しくなります。
逆に骨組みが整い、必要な筋肉がついていると、無理に飾らなくても姿勢の良さや動きの滑らかさとして、その人らしい美しさが滲み出ます。
構造が整っているサイトには、独特の安心感があります。
これが機能美と呼ばれるものです。
好みと設計のあいだ
見た目は「お化粧」にも似ています。
お化粧は相手への礼儀にもなるし、自分の印象を整えてくれます。
ただ、度を越してしまうと、その人本来の姿が見えなくなることがあります。
厚化粧になるほど、何を届けたい人なのかがぼやけ、どこか拭えない違和感が残る。
ホームページでも、装飾を盛りすぎることで、肝心の中身が薄く見えてしまうことがあります。
特にテンプレート選びにおいて「自分の好み」だけで決めてしまうと、この落とし穴にはまりやすくなります。
綺麗だけれど使いにくい、自分の事業の目的に合っていない構造を選んでしまうからです。
プロのアドバイスを受ける際、もし「自分のこだわり」と衝突を感じるなら、一度立ち止まって考えてみる必要があるかもしれません。
自分は「とにかく綺麗に作りたい」のか、それとも「結果を出したい」のか。
どちらが正解というわけではありません。美しさを最優先し、結果が二の次になっても構わないという価値観も存在します。
大切なのは、自分がどちらを優先しているのかという前提を自覚し、それを制作側に共有しておくことです。
この前提が曖昧なまま進むと、設計と装飾のあいだで摩擦が起き続けます。
構造が先で、装飾は後
おすすめしたい順番は、至ってシンプルです。
構造を先に作り、装飾は後に添える。
まず入り口を作り、迷わない導線を引く。必要な情報を揃え、申し込みまでつなげる。
この骨組みが整ってから、その人らしい雰囲気を乗せていく。
見てもらいたい人にとって心地よい色や見せ方に整えていく。
この順番を守ることで、制作の停滞は減り、運用も長持ちするようになります。
見た目を整えるのは、入り口ができてからでも遅くありません。
しかし、入り口を作るのを後回しにすると、機会そのものを失うことになります。
もし今、デザインの細部で手が止まっているのなら、美しさを追求する前に、まず構造を整えるところから始めてみてください。
あなたのホームページは、今、どのような状態でしょうか。
美しく飾られていますか。
そして、訪れた人が迷わず一歩を踏み出せる形になっていますか。
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